まぁ、そんなこんなで姉さんを落ち着かせる方法はわかる。
いや、今日までずっと一緒にいるのだ。
わからないはずがない。

取り敢えず、私は一言。

「姉さん、今日大河ドラマで攘夷志士が出るよ?」

……もちろんこれは嘘だ。
だって今は確か、平の………なんとかのところだったはず。
私は新選組のことは大好きだけど、それしか興味がなく、もともと歴史には疎いからよくわからない。

まぁ、嘘をついてまでそう言ってみたけど、姉さんは聞こえていないのか、それとも私の悪口を言った二人を懲らしめるほうが大事なのか、ブツブツと呟き、玄関へとフラフラと歩きながら向かっている。

………全く、私が二人の指を全部切り落として、目玉を一つずつ獲ることまでしかしていないのに、姉さんだけはそれから先を愉しむとかズルい。
………だけど、私は昨日も少々お痛をしてしまったから町……いえ、村には警察が見回っていることだろう。

私は仕方なく最後の手段に出た。
いや、この方法はとても使いたくなかったのだが仕方ない。
姉さんの服の裾をちょこんと摘み、上目遣いをすれば一言。

「くる、お姉ちゃんと一緒にいたいなぁ………」

あぁ、自分でも気持ち悪いと思う。
いや、これは私に対しての罰ゲームにしか思えない。
だけど、おかげさまで………

「もうっ、しょうがないなぁ~♪そこまでくるちゃんが言うならお姉ちゃん、ずぅーーーーっとくるちゃんのそばに居るよぅ‼」

………いっそ、そのまま人に付け回る金魚のフンになってしまえ。
そんな事を思う、私の今日この頃。

はぁ………本当、姉さんは私が死んだらどうするんだろうね。

これは、ただ普通に思ったことだった。
思ったことだったのに、これから先……いや、ほんの少しだけほんの少しだけ先にその答えが分かるとは、いくら常識を一越した私達でもわからないことだった。