「藤岡ぁー!お前まで補講組か!」

運悪く今日の担当は石竹だった

当初石竹のことをテンプレ教師呼ばわりしたが違った

本当はそれ以下の「ウザい」オッサンだった


放課後の教室に
他クラスの奴らと石竹...早く帰りたい



そう思っている時


高い金属音が響いた



誤解されないよう言っておくが、耳鳴りではない


金属音が聞こえてきたグラウンドを窓から見る


もう一度
響く


金属バットに当たるボールの音だ




その金属音を鳴らしたのは
転校してきて一番に話しかけてきた

野球部の後藤だった



大粒の汗を流し泥だらけになりながらも必死に白球を追う姿はこの二ヶ月

新しい生活に慣れることでは埋まらなかったぽっかりあいた穴に「すっ」と染み入ってきた