パーフェクトティーチャー

「それにしてもすごいお店ですね。
内装も豪華だし、シャンデリアがまぶしくてたまらない。
他のお客さんのテーブルにあったワイン、いかにも高そうでした。
きっと数十万はするんでしょうね・・・
こんな高いお店、ボク来るの初めてですよ」


「あらそう。
確かにここはけっして安くはないわ。
都内でも有数の三ツ星レストランなのよ」


「三ツ星か・・・
ボクの安月給じゃあ死んでも来れませんよ。
清水の舞台から百回くらい飛び降りなきゃ無理だな」


「オホホホ。
氷室先生って面白いのね。
お金のことはぜーんぜん気になさらないでね。
先生の好きなものをどんどん召し上がって結構よ。
私がお誘いしたんだから、私がごちそうするわ」


「ありがとうございます。
ところで、ここへはよくいらっしゃるんですか?」


「そうでもないわねえ。
ここへは本当に大切な人としか来ないのよ。
前に来たのはいつかしら。
遠い昔のことで忘れちゃったわ」


女優はいつだって単刀直入だ。


下手な前置きなんかしない。


真奈美はいきなり口説きにかかっている。