ほたるはまた読唇術を駆使して、二人の会話を盗み聞きした。


「氷室先生。
この前の返事なんですが・・・」


ごくり。


ほたるが生唾を飲み込む。


彼女の口からどんな言葉が飛び出すんだろう。


ついに両想い成立か。


ほたるの動悸がますます激しくなった。


ナプキンで口元を拭った宮原かすみが上品に口を開いた。


「わたし・・・
先生の想いに・・・
答えようと・・・
思うんですが・・・」


その時、氷室が席から立ち上がり、思いもかけない行動に出た。


地べたに土下座したのだ。


形の良い頭をこすりつけている。