「入るわよ」


襖を滑らせ、母のまさみが心配そうな顔で部屋にやってきた。


「一体どうしたのよ、真っ暗な部屋に閉じこもっちゃってさ」
といって蛍光灯の紐を引っ張り、
「顔色も悪いわね」と、ほたるの向かい側に座った。


「おなかすいたんじゃない?
ご飯の用意してあるけど、食べたら?」


「いらない」


「そういわずに」


「いらないったらいらない」


「駄目よ。
何も食べないのは体に毒よ」


「いらないっっていってるじゃん」


ほたるが強い口調で言い放つ。