パーフェクトティーチャー

頃合いを見計らい、ほたるが本題を切り出した。


「あのー、こういうこと、先生に訊いていいものかどうか微妙なんですけど・・・
山上先生って恋人とかいるんでしょうか？」


「何だい急に。
ぶしつけにもほどがあるね。
フフフ・・・」


キザったらしく髪をかき分ける。


だが、迷惑そうな様子はない。


「いやー、山上先生のような繊細な芸術家タイプはいったいどんな方が好みなのかなーと思いまして」


「何でそんなことが気になるんだい？」


「だってほら、芸術家がいい作品を生み出す背景には恋愛が関わってると、私は思うんです。愛する人を驚かせたい、振り向かせたい、そんなモチベーションで生まれた良作って、意外に多いんじゃないかなぁ、なんて思いまして」


もっともらしい言い訳を思いつきで口にした。


口から出まかせを言うのは意外と得意なのだ。