パーフェクトティーチャー

放課後。


ほたるは勇気をかき集め、美術準備室の扉をノックした。


もちろん、氷室との関係を山上に確認するためだ。


真実を知るのは怖い。


だけど、目を背けるのは嫌だ。


「あれれ。
月越くんがボクに会いに来るなんて、いったいどういう風の吹き回しだい?」


扉を開けた山上が冷笑するのも無理のない話だった。


なぜなら、ほたるは美術の成績がさっぱり。


いや、センスは皆無で救いようがないレベル。


それ以前に、美術に対する造詣というものが全然ないのだ。


まったく興味が湧かないのである。


山上はそのことを見抜いていた。


見た目は男だけど心は女。


女の勘や洞察力は実に鋭いのだ。


しかし、かわいい生徒がわざわざ訪ねてきたのだ。


そんな嫌味な言い方で迎えなくてもいいじゃん!


ほたるはあと少しで舌打ちをするとこだった。