理事長の里中順子はいつ首を吊ろうか、毎日そのことばかり考えていた。


歴史ある私立女子高等学校・桃百合学園を父から受け継いで、今年でちょうど20年。


本当なら、記念すべき節目をむかえて喜ぶところ。


けど、そんな気はちっともわかない。


なぜなら、折からの不況と少子化で生徒が集まらず、経営が火の車なのだ。


1時間おきに借金取りから電話が入る有様で、とっくに精神は異常をきたしていた。


今は理事長室の机に頬づえをつき、窓から夕刻の景色をぼんやり、死んだ魚のような目つきで眺めている。


さっきから校長の武田洋平がそばで何度も呼びかけてるが、気づく気配がまったくない。


「あの・・・理事長・・・理事長・・・」


「わたしに何かご用かしら?」


顔の前で手を振られて理事長はようやく我に返った。