夏色の輝石。~最後の夏、君に輝け~

来週末は大切な試合。

こんな事で集中を切らす訳にはいけない。


「……遥香、信じてるぞ。」

「翔太、絶対勝ってよ!」

「おう。当たり前だろ!」



無茶な事言ったかも知れない。
一瞬、頭をよぎった不安。


「お前なら出来る。」


そんな私の不安を読み取ったのか、翔太が言った。


「遥香の根性ならいけるって。心配すんな。」


「…当たり前でしょ!」


そうは言うものの、つい下を向いてしまう。


「……まだ不安か?」


「…そんなことないよ。」


翔太は立ち上がり、部屋の本棚へ向かう。


「やるよ。」


「…何これ。」


「覚えてないのかよ。遥香が俺にくれたお守り。」


薄い桃色のお守りに、一生懸命縫ったような"お守り"という字。

「私が作ったの…?」

「遥香が、小学校の頃の試合の前日に勝てますように。って言ってくれたろ?」

「……そんなこともあったね。」


思い出した。

翔太の試合を見に行くってなって、翔太に作ったんだ。