夏色の輝石。~最後の夏、君に輝け~

瑠菜が出ていくと同時に一気に空気が重くなった。

「翔太、聞きたい事があるの。」

下を向いて気まずそうにしていた翔太も顔をあげる。


「…いいよ。」

「どうして皆、上原にこだわるの?」

「そんなの当たり前だよ。あいつがあんな性格になるなんて…」

「………拓矢は。」


さっき、ちゃんと聞けなかった。
拓矢が上原を嫌う理由。

「あいつは…………絢斗の親友だった。」

衝撃だった。
親友なのに、嫌うなんて…


「誰よりも絢斗の怪我を憎んだ。相手のピッチャーに殴り掛かろうともした。」


あいつは絢斗をよく知ってる。
だから、あんな性格にさせた相手ピッチャーを今でも恨んでる。


翔太は付け足すように言った。


「拓矢は強がってるんだね。」

「…なぁ遥香、俺、あいつを呼び戻したい。」


思いは同じなんだね。
やっぱり、皆、結局は上原ともう一度野球がやりたい。
そう思ってるんじゃないかな。



「私、何も出来ない。だからお願い。こればっかりは私に任せて?」

「あいつの心のなさ、分かったろ?一人じゃ無理だ。」


「翔太は、来週末の試合に集中して?」