夏色の輝石。~最後の夏、君に輝け~

暗い夜道。
2人並んで帰る。

「懐かしいな。」

「何が?」

「こうやって並んで帰るの。」

そういえばそうだった。
小学生以来…かな。
中学から野球をやっている翔太に比べて、私は、何にも部活に入っていなかった。

「しょうちゃん。」

突然、昔のあだ名を思いだし、呼んでみた。
翔太は恥ずかしそうに、懐かしそうに微笑んだ。

「はーる」

翔太も呼び返してくる。
もちろん、昔とは声も容姿も違う。
だけど、確かに翔太だ。

「遥香はさ、怖くないの?」

「んっ?」

「何も知らない部活に入ること。」

「どうして怖いの?」

「……俺なら、怖い。」


自分で誘っといて…

「翔太じゃないもんね!」


昔もこうやって笑いあったよね。
なんか、我ながら自分が羨ましい。
皆よりも翔太に近い存在だなんて。