「囚われ姫~星屑は魅惑の花の香に抱かれて~」

「兄様って藍色?」
「俺は夕俟さん黒だと思う」
「二人とも違うわ」




あたしは店先に並ぶ花々を指さして笑う。
久しぶりに心から。




「どの花も見事なまでに咲き誇り、どの花もあたしたちを潤してくれる。藍色は暗いようでいて実は明るい幻想的な色よ。大抵の花は藍色が映える」




笑うあたしに威煌も笑う。
その顔は、神崎さんに似ているようで似ていない、けれど麗しいそれだった。