「囚われ姫~星屑は魅惑の花の香に抱かれて~」

「誠くんがそのサングラスかけるときは嘘つくとき。サングラスをかければ涙を隠せるって言ったでしょ。今日くらいはあたしの前でみっともなく泣いて良いのよ、“誠”?」
「せんぱ…い…」




あたしの肩にもたれながらみっともなく、けれどどこか美しく、誠は泣いた。
あたしには慰めるなんてハイレベルな芸当は出来なくて。




「ごめんね、選んであげられなくて」




誠の頭を撫でる手を、誠が力なく掴む。
この瞬間に、失恋を癒すほどのマジックなんて思い付くわけがなくて。