綾ちゃんに隠し事出来ないことなど、この数ヶ月で解りきっていた。
どう説明して良いか解らずにおろおろしているあたしを見て、綾ちゃんは軽くあたしの脚を蹴り、質問を繰り出した。




「昨日の痛いバイクの人、好きなの?彼氏でしょう?」
「彼氏とかじゃないし…夕俟様はあたしみたいな埖相手にしないわよ?」




着信音の響かない携帯を片手にあたしはため息を洩らした。
連絡先など教えていないのだから高校までに出会った友達くらいからしか連絡がくる以外、もともとないのだが。




捨てられた子猫のような心地で空を仰ぐあたしに、元気な隼人の声がかかる。