壁にもたれかかりながら萎えつつ、俺は思う。
いくら好きでも…




「刹那は一般人だ。填まったら刹那をも傷つける…。けど…」




それを解っていて刹那を抱けるほど、先立つものを持ってもいなかった。




アジトに残される大切な人の残り香は、決意を促すように辺りを漂う。
月明かりに左手を掲げ、俺と刹那の薬指に同じ指輪が光ることを、切に祈った。