放課後になり、部活に向かう者、帰宅する者、生徒達はそれぞれに行動している。

鴉丸 鷹雅もまた、ググッと伸びをしながら席を立つ。

と。

「お、和音ぇ」

教室の外、廊下を歩いていたバイオリン男子の姿を見つけ、鷹雅は声をかけた。

「やぁ鷹雅君、今から帰りかい?」

愛用のレディ・ブラントを片手に、涼しげに微笑むバイオリン男子。

彼の前では、梅雨の湿気も夏の蒸し暑さも無きに等しい。