天国と地獄の分かれ目、テスト返し。

皆が皆、己の採点結果に一喜一憂し、明暗くっきり、悲喜こもごもとなる中。

「……」

そんな事そっちのけで、安堂 優はとある教室を覗いていた。

覗いていた、といったら人聞きが悪いか。

様子を見ていたという方が正解か。

彼は頭脳明晰な為、然程テストの点数で顔色を変えるような事はない。

今回も危なげなく平均を上回る点をとり、当然のように夏休みを待つばかりの状態となっていた。