だから新の安眠場所は、もっぱら図書室に決まっていた。

あそこならば、無口な弓道少女が黙々と本を読んでいるだけで、然程騒音も耳につかないのだ。

安心して夢の世界に入り込む事ができたのに。

ある日突然。

「む、お前は1年の伊槻!」

普段図書室になど見回りに来る事がない完璧超人が、その日に限ってやって来た。

「生徒指導の勘が働いて来てみれば、やはりお前のような授業ボイコット生徒がいたか」

などと尤もらしい事を言っているが、真相は職員室で怠慢に居眠りしているのを教頭、毒舌らに咎められ、新しい寝床を探して図書室にやって来ただけなのだが。