「おい!すわれよ!」
声がきこえる。
きっとベンチだ。
もう驚いたりしない自分に驚いた。
「いいの。あなたが疲れちゃうでしょ。」
「いいからすわれ!カタツムリの町へ
行くんだろ?まだ少しかかるから
すわっていきな!」
「・・・ありがとう。
ごめんなさい。」
私はベンチに腰をかけた。
「あなたはどうやってここにきたの?」
「ここにきたって・・・
生まれたときからずっとここにいるさ。」
当たり前のように答える。
ベンチに座ると空をみてしまう。
あまりにも綺麗な空だから。
不思議と見いってしまう。
「昨日のベンチと違ってあなたは優しいのね。」
「あ~アリの町の途中のベンチか。
あいつはもうこわれかけだからな。
おれはまだまだいけるさっ。」
私がちいさいころ、
ときにはジュースをこぼしたり
ベンチの上に立ってみたり
砂をかけたりしていた。
そのときベンチはどう思ってたのだろう?
「ベンチが言葉を話すなんて驚いた。
でも、もうなんだかなれちゃってる。」
笑いながらいうと
「ずいぶん変なことをいう人間だなぁ。」

