保健室
「ねぇ楠野さん?一年生の教室にこの資料持って行ってくれないかしら」
「面倒なんですが先生」
「暇そうなのにねぇ」
「暇じゃないです私」
「保健室のベッドに寝転んでるのに?」
「…」
「優しい優しい楠野さんは行ってくれるはずよねぇ」
「先生何なんですか?私をいじめて」
「いじめてなんかないわよ」
「…行ってきますよじゃあ」
私は靴を踵で踏んで保健の先生に渡された資料を持ち1年の教室に行く
『楠野先輩だ!』『あぁあの狼女でしょ?』『綺麗な人だね』
『不良らしいよ?』『嘘~ほんと?』『みんな言ってるよ!』『え~』
不良じゃないし
喧嘩なんかできないし
勝手にあんた達がつけたイメージで決めつけないで
歩くといつもこんな会話が耳に入る
もう私の事いい人って誰も思ってないんだきっと
保健の先生だってきっと私と嫌々付き合ってある、はず
私は出会いなんか期待なんかしてない