美代子は墓地からの帰り道を歩んでいた。

帰り道は一本だけだった。

美代子は砂利道をガタガタと車椅子を鳴らしながら進んでいた。

すると前から、一人の若い男が歩いてきた。

短髪で、樹のように背筋を伸ばしていた。

男は、美代子の前で止まった。

美代子もまた、男の前で止まった。

「久しぶり、母さん」

「久しぶり、周」

久々に見た息子の額には大粒の汗が浮かび、仕事のせいか顔が焼けていた。

普通なら汗を流し、頬が赤く火照るはずであるが、美代子の顔は蒼白で涼しげであった。