小さい時の記憶を思い起こそうとすると、靄がかかったように思い出せない場面がいくつもある。


どうして思い出せない?


事故に遭ったとかそんなことは今まで一度もなかった。


じゃあ、なぜ。


それは、あたしがあたし自身の記憶を疑ってるから。


信じてないから。


あたしの周りは嘘だらけだった。


そんな中で過ごしたあの時間も、嘘なんじゃないか。


そう思ってる時に繋がれた左手。


その感覚だけは、今は嘘じゃないと思えるんだ。


だから。


「嘘はもう聞き飽きた。真実を教えて。」