不安で汗ばみ、冷たくなった手にぬくもりが伝わる。


「おに‥‥ヤミ」


"お兄ちゃん"そう呼ぼうとしてやめた。


もう、嘘か誠かなんてわからない。


もしかしたら、あたしたちを惑わせる嘘だったかもしれない。


けど、きっとヨウのことのようにこれも"真実の一部"だろう。


それは、ヤミの顔に大きく書いてあった。


あたしが、言い直したのに気づくとヤミはフッと笑って。


「少しだけ‥‥‥昔の話をしようか」


ヤミは何かを思い出すように、顔はシン達を見ていたけれど視線はどこか遠くを捉えていた。









左手が、段々と温もりを取り戻していった。