いつだって、あたしの前ではキャベツ食べてたりユウコと優しく笑う、そんな顔しか知らない。


またあたしの中にヒサの知らない顔が写された。


「じゃあ、俺が勝ったらレナと狂獣連合まるまる置いて去ってもらうぜ」


「好きにしろよ。自分に自信のない奴ほど賭けだなんだと言って、相手に自分の不安を押し付ける」


「わりぃな。そいつは、勝者になった時その名のとおり『神』となれることの不安だよぉぉおおおお!」


シンの拳が、空を裂きヒサの頬を掠める。


遂に‥‥‥始まってしまった。


もう、言葉だけじゃ説得だけじゃ収まらないとわかっていても、苦しかった。


殴り殴られる、2人。


もう、あたしにできることは何もない。


「レナ、崩れちゃ‥‥ダメだよ」