あたしは、ヤミと一緒に少し離れた場所で見ていた。


あたしが原因でなった戦争だけど、あたしが近くにいても邪魔になるだけだし、人質になりかねない。


どっちにしろ、近くにいればあたしは必ずヒサの足でまといになる。


どうしたらいいかわからず、ただ呆然と立ち尽くすあたしにヤミが


「こっちにおいで。」


優しく手を引いてくれた。


大好きだった手があたしの手をまた、引いてくれた。


近くにいてはいけないことは、痛いほどわかるのにその場から離れたくなかった。


正直言うと、ヒサの一番近くにいたかった。


ヤミが声をかけてくれなかったら、あたしはヒサに縋(すが)り付いていた。


ゆっくりとした動作で立ち上がり、さっきの衝撃で口に溜まった血を吐き出すシン。


そして、それを静かにただ、見つめるヒサ。