目の前で起きたことを理解するのに『私は』時間がかからなかった。


倒れた女の人は、ルイのおねぇさんで。


そのおねぇさんが、今。


――――――――刺された


あたしは、息をのんだ。


シンの嗤い声だけが響く倉庫の中で、あたしたちは現実に目を向けられなくたっていた。


特に。


「‥‥姉‥‥き‥‥?」


ルイは、重症だった。


手を強く握ってても気づいてくれない。


やけに心臓の音がうるさい。