後ろから雄大さんの驚いている声が聞こえた。
立ち上がって前を見ると…
「えっ…」
「あっ!兄貴んとこの若頭さんですよね」
アキさんの弟さんだった。
「…雄大さん…」
また身体が…
「彼方…大丈夫だ」
雄大さんは私を背中に隠してくれた。
お母さん…
弟さんを見るとお母さんの顔が浮かんできた。
「あれ…若頭さんってことは、彼女さんですか?」
「お前には関係ない」
「若頭さん酷いですよ!」
「悪いが、急いでるから」
雄大さんは私の手をひいて歩き出した。
まだ震えている。
「彼方…帰るか?」
「買い物します」
「大丈夫か?」
「雄大さんがいるから…」
「…じゃあ、買って帰るか」
「はい」

