「彼方?」
「腕組んじゃダメですか?」
「いや…嬉しい」
買い物カゴは雄大さんが持ってくれた。
「何買うんだ?」
「何が好きですか?」
「そうだな…何でもいいよ」
そう言われると…困る。
「じゃあ…楽しみにしててください!」
「彼方が作ってくれるなら何でもいい」
「ありがとうございます」
じゃあ…卵焼きに…野菜もいれて…
ドンッ!
「キャッ…痛っ」
選ぶことに必死で前を見ていなかった私は、誰かにぶつかって転んだ。
「…すいません!」
「俺が前見てなかったから…ごめんな」
ぶつかった人は目の前に手を差しだしてくれた。
「あ…ありがとうございます」
手につかまって、立ち上がった。
「お前…」

