闇の王子様




男達が倒れた原因はもちろん雄大さん。


雄大さんの姿を見た瞬間、私の目から涙が溢れた。


「雄大さん…」


「彼方…」


雄大さんは黙って私を抱きしめた。


そして、まだ呻いている男達に…


「てめぇら死にたいのか?」


そう言ってまた殴ろうとした。

でも…


「雄大さん!」


私が抱きついてそれを止めた。


これ以上、ここにいたくなかった。


「彼方…ごめんな」


「雄大さん…助けてくれてありがとう」


雄大さんは私に服を着せてくれた。


「もう帰ろうか」


その言葉にゆっくり頷いた。


車までの間、雄大さんはずっと私の肩を抱いてくれた。


車に乗ってからも二人の間に会話はなかった。