「イルカのクッキーか、魚のお饅頭。どっちがいいですか?」
「…饅頭か…」
「お饅頭ですか?」
「あいつら好きそうだな」
「じゃあ、これにします!」
私は笑顔で箱を渡した。
「いや…足りない」
「えっ?」
「一つじゃ絶対に足りない」
「二つですか?」
「いや…五つ」
五つも…
「やっぱりすごいです」
初めてのご飯は驚いたけど…
よく食べるから。
「彼方は?」
「へっ?」
何のことか分からず、変な返事を返した。
「お土産」
「そのお饅頭ですけど」
「…彼方の、土産」
私の…お土産…
「いらないです!」
全力で首を振った。
「何故だ」
「今日、すごく楽しい時間を過ごしました。
雄大さんとここに来た思い出が私の宝物になったから…」

