「えっ…」
「さっ、中行くぞ」
繋いでいた手をひかれて奥へと進んだ。
いつ払ったんだろう…
雄大さんの行動はすごく早い。
初めて会った時も、今日も、助けてって言ったらすぐに来てくれた。
何か…不思議。
「彼方、どうした?」
突然歩みを止めて私を見た。
お礼…言わなきゃ
「あの…ありがとうございました」
「あれくらい、気にするな」
「いえ…私…バイトして返します」
「はっ?」
ちょっと雄大さんの声が低くなった気がした。
「あの…」
「彼方が働く必要はない」
「でも…」
「ダメだ」
「はい…ありがとうございます」
何か…だんだん不機嫌になっていく気がして、私が折れちゃった…
「中、入るぞ」

