…はい。

今はきっと言うことを聞いていた方がいい。

ゆっくりと車に乗ろうとすると、


「早くしろ」


阪本さんに押された。

「キャッ…」

「彼方、アキには抱きついたのに俺には無いのか?」


「えっ…」

「お前が抱きしめていいのは俺だけだ」






なんか…阪本さん…


「可愛い…」

「あ?」


そう言った阪本さんに勢いよく抱きついた。

広い車内。
私達が抱き合っていてもスペースはあった。

「阪本さん…」

「彼方…」



何か…忘れて…


「阪本さん!手紙!」

そうだった…今阪本さんと一緒にいる理由。

元気くんから手紙、預かってたんだ。




「あの…これ」


まだ驚いている阪本さんに手紙を差し出す。

「なんだ…これ」