一人が怖い。


阪本さん…

「阪本…さん…」


バンッ!


「ハァ…彼方!」


少し涙目になりながらドアの方を見ると、息をきらした阪本さんが立っていた。



「阪本さん…」


阪本さんは私を見つけると走ってきて、私を抱きしめた。



「どうした?」


やっと震えが収まってきた。


「阪本さん…」

「ん…?」

「何でここにいるの?」

「…彼方が俺を呼んだから」



私が…阪本さんを呼んだから…


「ありがとうございます」

「いや…今日は帰るか?」


阪本さんの腕の中でゆっくりと頷いた。


「彼方…立てるか?」

私はゆっくりと立ち上がった。


「車。今日はアキだぞ」


「アキさん?」

「嬉しいか?」

「はい!」