しばらくすると…
「おまちどおさまです!」
机の上には見たこともない豪華な食事があった。
「さぁ、彼方さん、どうぞ」
「…………………」
「…彼方?どうした」
私の目から自然に涙が流れた。
「か、か、彼方さん!どうしよう…」
「おい!お前のせいだぞ!」
「彼方さん!すみませんでした!」
涙に焦ったのか、皆が謝ってきた。
「…違うんです…」
「「えっ?」」
「皆さんは悪くない…」
「彼方、どうした」
伏せていた顔をゆっくり阪本さんに向けた。
「私…こんなに…優しく…してもらうの…何年ぶりだろう。
って思ったら…
温かいご飯なんて…
嬉しくて」
皆が息を飲んだ。
「彼方?今日会ったばっかだけど…」
阪本さんのこの言葉を忘れることはないだろう。

