阪本さんの顔を見ると、自然と涙が流れてきた。


「えっ、彼方…」


「阪本…さん…ごめんなさい。」


「彼方…」


私は阪本さんに抱きついた。


「阪本さん…ごめんなさい」


「彼方…何が?」


「えっ…」


「何故謝る。」


「だって…」


「こういう時は、“ありがとう”って言え」

「ありがとう?」


「謝る必要なんてない。」


「…あり…がとう」



そう言うと、阪本さんは笑って


「どういたしまして」

と言った。



「じゃあ、帰るぞ」


「…嫌…」


家には帰りたくない。一人は怖い…。


「彼方、お前の家じゃない。」


えっ…阪本さんの目を見ると、


「阪本組に来いよ。」

優しく…優しく…言った。










私の夢のような毎日は…この日から始まった。