「…どうして?私…」

「俺は借金取りじゃない。
お前を助けたいだけだ。」


私を…助ける?


「だから、泣くな。」

そう言って、私の手首を離した。


私はその場から足が動かなくなった。


「おい、出ていけ。」

男の人が扉の人に向かってそう言った。


「はい」と言って、扉を閉めた。


静かな静寂が私を包んだ。


「…あの…」


この空気に耐えられずに、私が話はじめた。

「あの、名前…」


「俺の名前は阪本雄大(サカモトユウタ)。」


阪本…雄大…

何処かで聞いたことがあった気がする。