「家族連れ、たくさんですね」



「そうだな」




「雄大さん…」




「チケット買うぞ」




雄大さんは前を向いたままチケット売り場へ歩いた





「何名様でしょうか?」



受付の男の人が雄大さんを見ながら言った



「大人2人。」



「大人二名さ…ま」




受付の男の人は雄大さんの背中から顔を出している私を見て動かなくなった






「おい…チケット」



少し怒り気味で雄大さんが急かした





「あ…は、はい!大人二名様ですね。

えっと…1600円になります」




受付の人はずっと私と目が合っていた



チケットを渡している時に少しだけ受付の人に微笑むと、



顔を真っ赤にして下を向いてしまった





「彼方、入るぞ」




何故か雄大さんは少し不機嫌で遊園地に入った




「彼方、受付の奴に何かしたか?」



「何か?」



「笑ったり、ウインクしたり」



「ちょっと笑ったかも」




そうすると雄大さんと繋いでいる手に力が入った




「えっ…?」



「彼方は男のこと分かってないんだ」