「えっ…?気?」
「アキ!言うなって!」
私には分からない話をしているアキさんと雄大さん。
その時…
ピーンポーン。
「あっ!元気くんだ」
玄関に向かって走っていくと、後ろから雄大さんが何かを叫んだ。
でも、よく分からなかったから私はそのまま玄関をあけた。
「元気くん!」
「彼方ちゃん!今日は大丈夫だった?」
元気くんは私の顔を見るなり私の手を握って話し始めた。
「えっ…う、うん」
「心配したよ?でさ、今度クラスの皆でカラオケとか行かない?」
「カラオケ?」
「そうそう!文化祭の打ち上げで…」
「おい!元気!」
後ろから突然雄大さんの声がした。
振り返ると少し怒った雰囲気の雄大さんが元気くんを睨んでいた。
「ちょ…どうしたんですか?」
「彼方ちゃん?彼氏さんにまだ敬語なの?」
「へっ?」
「元気…お前…何しにきた」
雄大さんは今にも元気くんに殴りかかりそうな勢いだった。
「そうだ。はい、これ」
「元気くん、ありがとう」
手渡された物は紙袋にはいった私の制服だった。
「いいえ、どういたしまして。」

