「いらっしゃいませ」


扉を開けた瞬間に少年が近付いてきた。


中は入口からは想像つかない程広く、天井も高い。


たくさんのテーブルや椅子が並び、店の奥の中央には長方形のカウンターが見えた。


窓はなく、締め切られているわりに息苦しくはなかった。


客は一人もいない。


客どころか店には少女の目の前にいる少年ただ一人しか見当たらない。