◎千尋side◎




新幹線の改札を通る



私はケータイを見るフリをしてやっぱり色んな思い出を振り返っていた



写真もいっぱい見返した




こんなに寂しくなるなんで思わなかったな




最後にもう一回、笑顔でさよならとか言えばよかったな




なんて思っても無駄だった




けどその時





「ちひろーーー!!!!!!!」




「……え??」



今私を呼んだ?




「お父さん、誰か私のこと呼んでた?」


「いや、わからないけど」



気のせいかな?




女の人の声で呼ばれた気がする



「ちひろーーー!!!!!!!」




「え!?」



今度は男の人の声



「今のは完全に聞こえたよね??」


「今のは聞こえたな」



お父さんも聞こえたみたい




声のしたところに戻ってみる



改札の方かな?





戻ってみると












「あーー!!いた!!」








嘘……






なんで結衣と空がいるの?






「ちひろー!!会いに来たよー!」


「……なんで…?学校は?」



改札の前ギリギリに2人は居る



結衣に聞くと



「ふふふふ、最後のサボり」



結衣は空の肩を組んでニヤけながら言った



「何してんの……」




ダメ…泣いちゃう




「千尋」



空が私の名前を優しく呼んだ




「元気な赤ちゃん産むんだぞ
また絶対会いに行くから
千尋が元気じゃないと元気な赤ちゃん産まれないからな」



空は声を震わせながら言った








「千尋、今までありがとな」