「あ、思い出したんだ」
忘れていたわけじゃない
なんでだろう
そこだけ記憶が薄かった
言われた言葉だけが鮮明に覚えたいたからか?
「結局トラックは止まってくれたけど
空がいてくれたおかげで
なんか安心出来たんだよ」
「……あの時、千尋が言ってくれた事があったんだけど覚えてる?」
「……ん?」
逆に千尋はそこだけ忘れているらしい
「空と私はずっと一緒だよね
って言ってくれたじゃん?」
「あーー言ったかも」
「じゃあ聞きたい事があるんだ」
千尋は首を傾げる
「ずっと一緒ってありえる?」
俺が聞くと千尋はしばらく固まる
でもその後、腕を組みながら俺に言った
「ないかな」
千尋は真っ直ぐ俺を見て続ける
「あの時、空も私も死ななかったからずっと一緒だと思ったけど
結衣の親も離れた、私の親も離婚して離れた、私と空ももう離れる、翔も離れた、
ずっと一緒ってなに?って私が聞きたいくらい
人は人を離すと思ってるよ」
千尋の言葉の一言一言が
俺の中に重く入ってくる
「もう、離れるのは嫌だけど
慣れちゃってる自分がいるかな」
千尋の言葉に何も返せなかった
ただただ重い空気だけが流れていくだけだった



