帰りのホームルームが終わると保健室へ向かう。湊先生にプレゼントを渡すために。
 保健室のドアをノックすると、「はい」と先生の声が聞こえた。
「失礼します」
 入ってすぐ、険呑な視線を向けられる。
「あんた、今日の昼休み診察さぼったわね?」
 言われてはっとした。
 今日は月曜日で診察の日だったのだ。
「先生、ごめんなさい……忘れてました。これ、プレゼントするから許してください」
 おずおずと包みを差し出すと、
「あら、フロランタンじゃない。私、コーヒーのお茶請けに食べるの好きなのよね」
 と、目元と口元が緩む。
 フロランタンに反応するのはツカサと同じ……。