「何が? 包みも中に入ってるものも全部一緒だったじゃん」
「あのね、全部で七十九人分作るのにコンシェルジュ御用達の業務用オーブンを借りたのだけど、そのほかに捏ね機も借りて……。でも、ツカサのは違うの。ちゃんと木ベラと泡だて器で自分の力で作ったの」
 ちゃんと違うということを主張したつもりだったけれど、そこかしこから聞こえてきた言葉は残念なものばかり。
「すんげぇわかりづれぇ……」
「見かけが一緒なら一緒に見えるでしょうよ……」
「みそのっち、せめてラッピングだけ別にするとかさ……」
「御園生さんの彼氏って大変だよな」
 そういうものなのかな……?
「ま、終わりよければすべてよし、よ」
 言ったのは桃華さんだった。