編みながら、七月に入院してからのことを思い返していた。
 たくさん心配をかけた。自分たちを責めてくれてかまわないと言ってくれた。どんな治療が降って湧いても受けさせるだけの経済力は備えておくと言ってくれた……。本当に優しくて大好きなお父さん。
 今はどうかわからないけれど、去年は間違いなくオーバーワークだったと思う。その疲れが吹き飛ぶほどの喜びをプレゼントしたかった。
 たかがマフラーだし、大量生産のお菓子たちだけど、喜んでくれるかな? 喜んでくれるといいな……。
 単純作業を黙々とこなし、最後の伏せ止めを終わらせると、時計は十一時五十分を指していた。
「終わった……。あと二本……」
 お昼ごはんを挟んで二時までにはどのくらい編めるだろうか……。大丈夫、最悪、今日中に編み終えればいいのだ――。