「とても美味しくできています。きっと皆様も喜ばれるでしょう」
 私たちはフロランタンの焼きあがるまでの時間、それらを透明の袋に入れる作業を黙々とこなした。
 リボンをつけると売り物のようにも見えなくもない。
 こんなふうに用意ができたのは、ひとえに唯兄と七倉さんのおかげで、七倉さんのメッセージカードに、一緒に作ってくれたことに対するお礼を書き添えて正解。
 時間が経つにつれて、フロランタンの香ばしい香りがしてくる。
「私、この香りが大好きなんです。なんだか幸せな気持ちになれる香りだと思いませんか?」
「わかります。でも、私は食いしん坊なので、端の少し焦げたものを味見するのが幸せです」
 七倉さんがクスリと笑ったので、私も同じようにふふ、と笑い返した。