話によると、住居者からオーダーのあったものはすでに作り終わっており、明日の午前中に引き渡せる状態になっているのだとか。ただ、生菓子に関しては明日の午前中に作るとのことだった。
「では、まず生地作りから。――と、こちらもひとつは手作りですか?」
「……はい」
 少し気恥ずかしくて頬が熱くなる。
「きっと、喜んでくださいますよ」
 七倉さんの優しい笑みに、不安はほんの少し解消される。
 まずはケーキ生地を作る。バターを室温に戻したものをボウルで練り、砂糖を二、三回に分けて入れて混ぜ、溶き卵も二、三回に分けて少しずつ混ぜる。インスタントコーヒーはあらかじめお湯で溶いておいたものを加え、そのあと、アーモンド粉、ふるった粉、スライスアーモンドの順に混ぜ型に流し入れる。
「さ、クランブルを用意しましょう」
「はい」