「まずはどこに行くの?」
「んーと、手芸用品店?」
「手芸……?」
「うん。毛糸を買いに行くの。唯兄も好きな毛糸選んでね」
「編んでくれるのっ!?」
 目を見開いてものすごく驚いたって顔をされたから、私も一緒になって驚いた。
「……編む、よ? でも今日明日しか時間が取れないから、凝ったものは作れないけど……。その分、差し色になるような毛糸を選んでね」
「わー! 嬉しいっ。手編みのマフラーとか初めてっ!」
「そうなの?」
「そうなのっ。力入れて選ぼうっと」
 手芸用品店に入ると、このくらいの太さ、と毛糸の太さを指定して唯兄には自由に選んでもらうことにした。
 私はお父さんと蒼兄の毛糸を選ぶ。お父さんには黒い毛糸に紫のモヘアが絡めてあるもの。蒼兄には同じ種類の毛糸で黒い毛糸に水色のモヘアが絡めてあるもの。五玉ずつカゴに入れていくと、唯兄がふたつの毛糸で悩んでいた。