教室を出てからも、私の頭の中はフル回転。
 みんなには六十三人と話したけれど、警備の人たちにもプレゼントしたいから、正確には七十三人なのだ。
「どうしよう……」
 そうは思うものの、こんなにもたくさんの人が思い浮かぶことをひどく幸せに感じている。
 家族と栞さん、昇さん、湊先生、静さん、秋斗さん、楓先生、この十人はシフォンケーキを切り分けたものを届けよう。
 ほかの人は外で手渡すことになるから簡易ながらもラッピングがされていなければならない。だとしたら、クッキーや柔らかすぎないケーキ――フロランタン、コーヒークランブルケーキあたりががいいだろう。
「……フロランタンとコーヒークランブルケーキにしよう」
 フロランタンはクッキー生地を焼いてから、アーモンド生地を流してさらに焼く、という二度手間になるけれども、生地さえ作ってしまえばあとは焼くだけだし、ツカサも桃華さんも好きと言ってくれたから。コーヒークランブルケーキは蒼兄が好きなのだけど、コーヒーが好きなツカサにも喜んでもらえるかな……。