「翠葉、こうなったら取捨選択よ」
 取捨選択――無理……。
「桃華さん、ここはなんとしてでもがんばりたい……」
「……もう、頑固なんだから。翠葉は言い出したら聞かないって蒼樹さんから聞いたわ」
「……ごめん。私、色々考えなくちゃいけないから先に帰るねっ」
「その前にひとつだけっ」
 桃華さんに引き止められ、
「何?」
「あのねっ、私っ……蒼樹さんにチーズケーキを作るから、翠葉は違うもの作ってもらってもいいっ!?」
 顔を真っ赤に染めた桃華さんにびっくりした。
 けれども、すぐに了解の旨を伝え、教室をあとにした。