光のもとでⅠ

「バレンタインって……二月十四日の?」
「それ以外に何があるのよ」
 ありません、たぶん……。
「その顔は忘れてたって顔ね」
 コクコクと頷く。
「どうしよう……。何も用意してない。ここのところ勉強に追われてたから……。どうしよう。今からじゃお父さんと蒼兄、唯兄に編み物をプレゼントするのは難しいかな……。でも、マフラーなら一本四時間として十二時間あればできるから……。あ、でも、毛糸買いに行かなくちゃいけないし……」
 オロオロしていると、
「翠葉……そうじゃなくて」
「え?」
「藤宮司に渡さないのかって話よ」
「……ツカサ? どうして?」
「どうしてじゃないでしょっ!? なんで家族にあげて藤宮司にあげないのよ」
「えっと……年間行事だから?」
 努めて真面目に答えたつもりだった。けれど、桃華さんは頭を抱えてしまう。